福山城の作り方(参考です)
40 福山城1
















元和8年(1622)竣工の創建時(最初の姿)福山城になります。福山城天守は現在も建っていますが、今の天守は昭和41年(1966)に建てられた復興天守で、本来の形に似た形で作られています。当初は本品のように、4重目の屋根は杮葺き屋根でした。その後江戸中期には杮葺きから瓦屋根に変更されています。そして特徴的なのが北面にあたる壁面には鉄板が張られていました。この天守は幕末も生き残りましたが、昭和20年(1945)の福山大空襲で焼失してしまいました。そして市民の寄付で今の天守が建てられたのですが福山城も例にもれず観光用天守として建てられたので物々しい鉄板は無しで、最上階の廻り縁も本来は彦根城同様の飾りで外に出て歩けるものではなかったのですが展望台として人が歩けるようになってます。でも近頃は史実に則った本来の姿を示すのがトレンドなのでこのペーパークラフトでは本来の姿を復元させました。今回は天守だけでなく周りの櫓も三浦先生に指導いただき復元させましたので部品数が多く少々作るのに時間がかかるモデルになってしまいました。

本品を組み立てる前に、カテゴリ内の作る前に(道具・心得)作り方基本編
そして、作り方必殺技編を確認しておいてください。


では、組立図の手順にならい作って行きます。

【手順1】
天守の一番上の5重目の屋根から作ります。
作り方は他の城も同じで、1、2、3番の部品をきれいに切り出します。
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線にそってしっかり折り曲げます。折り曲げは曖昧な折り曲げはダメです。しっかりと折ってください。1の屋根は左写真のように棟の部分は裏ノリでしっかり接着してください。
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次に2番の入母屋破風も確り折り屋根裏部分にノリを塗って貼り合わせておきます。
ココの詳しい作り方は「製作の基本 屋根の棟編」「製作の基本 屋根うら編」を参照ください。
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1番と2番を接着します。1の屋根裏は2を接着させてから行いましょう。
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屋根裏を貼り合わせると写真のように四角くノリ代が現れます。ここには4番の最上階がくっつくので見た目レベルでいいので長方形になっているか確認しておいてください。平行四辺形になっていたらダメ。はり合わせが上手く出来ていない証拠です。しっかり調整してください。
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3番のシャチを付けます。こいつの切り取りですが、リアルにやりたければ絵に沿って細かく切り抜くのですが、カッターナイフの先で刺す様にして切り取ります。「製作の基本 しゃちほこ編」
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これが難しければ写真のように切ると良いでしょう。
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半分に折り棟を挟む様にして接着します。
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4番の最上階を四角く組み立てその南と北側に6と7番を貼り付けます。
この時向きを間違えないように。
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5番の廻縁を組み立てます。高欄部分を折り曲げ、接着します。
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先に組み立てた最上階の廻縁床の裏側にノリを塗り廻縁に接着します。この作業はノリを付ける前に仮組してから行ってください。
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廻縁の下側は、写真の様に少し飛び出します。
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屋根のノリ代にノリを塗り接着します。
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各方向から見て歪みがない様に調整してください。
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4重目の屋根を作ります。8、9の杮葺き屋根を切り取りまん中のハの字になった折り曲げ線でしっかり谷折りします。そして10番の唐破風に合う様に湾曲させます。
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次に10番の唐破風を接着します。
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11、12番を写真左のように屋根裏を先に貼り合わせておきます。
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屋根を組み合わせます。東西南北を間違えないように。
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屋根をつなぎ合わせたら8番と9番の屋根裏を貼り合わせます。これは先に貼ってもいいのですが、ファセットの屋根は隣の屋根とのつなぎが外れないように屋根の連結ノリ代を屋根裏で固定できるように配慮しています。すべてがそうなっている訳ではないのですがこのように組み立てることで屋根に反りが付いていても外れにくいのです。なのでこの出順を推奨します。
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この様に真中がキレイに四角くなるように屋根の角(反りの部分)を指でつまんで調整します。
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この杮葺き屋根のノリ代にノリを塗り最上階の4番部品の内側に接着します。この時も変形が無いかいろんな方向から見て確認してください。
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杮葺き屋根に付ける破風を作ります。小さい部品なので丁寧に作ってください。
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破風の底面と写真右で示す切り欠き部の断面にノリを塗り屋根と廻縁の間に差し込む様に入れて接着し手順1は完了です。
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【手順2】
ここからの作業はここまでやって来たことの繰り返しと応用ですので説明を簡単にしていきます。
14番の4階を組み立てます。そして3重目屋根を作って行きます。
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屋根と21番の唐破風の作り方は同様です。
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15、16番の三角の千鳥破風を作ります。この部品の折り曲げは特にしっかり折ってください。甘いと綺麗な三角にならないので。
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この3パーツを組み合わせます。
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4階と3重目屋根を接着します。この時、唐破風の湾曲している屋根のエッジにノリを塗っておくと屋根の整形が容易です。
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屋根と4階を接着したら15、16の千鳥破風を接着します。壁側に隙間ができないように屋根と壁にしっかりと貼り合わせます。
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次に3階と2重目屋根を作ります。
3階は22番と23番の2つの部品構成です。
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そしてこの2重目の屋根。ここからが少々難しい。
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ここの構造は比翼入母屋破風と言って、本来は大きな入母屋破風1つになる構造なのですが2つに分割して格好良く見せています。姫路城や名古屋城にもあります。
まず初めにココの屋根の屋根裏は最後にした方が無難です。
24番の南側と27番の西側です。27番の西側屋根の右の破風に24番のぺろんと出た屋根を接着します。文字での説明は難しいので写真を見て組付け方を理解してください。
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全てをこのように接着しますがここで重要なのはやはり線のとおりカットしてあるかとしっかり折り曲げ線で折れているかということです。
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そして裏返して最後に全方向の屋根裏を貼り、3階と組み合わせます。
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3階との組み付けは基本的にこれまでと変わりませんが、破風の部分があるので各角がきっちりと合う様に丁寧に接着してください。
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28と29番の千鳥破風を組み立て貼り付けます。
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【手順3】
1重目屋根(一番下の屋根)と2階を作ります。
先ずは2階。
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そして南側の入り口となっている櫓の屋根。
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次に天守南側の屋根。
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先の櫓屋根と接着します。
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そして他の屋根とつなぎ合わせます。
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先に作った2階と37、38番の千鳥破風を組み立て今まで同様に屋根や壁に隙間が空かないように接着します。
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【手順4】
天守1階を組み立て。下部は平らな机などに置いて浮きなどがないように。
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天守入口の付櫓です。50番と52番をつないで作ります。
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51番の軒屋根も忘れずに。
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今度は天守1階にはり付けます。写真のように段違いになります。
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小天守の2階です。これは南面入口の付櫓右側に位置します。45と46で2階部分を。そして47、48、49の三つをつなぎ屋根を作ります。それを写真右のように組み立てます。小さいですがべつに難しくはありません。
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そして天守1階付櫓の飛び出たところに接着します。接着しにくいノリ代はピンセットなどを使ってください。
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天守台を作ります。特に説明はないですが55番の入口は内側から接着します。ここも傾きや浮きがない様に注意です。
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【手順5】
来ました!ここで天守上部も接着していきます。
私は上層階から組むタイプなのでその手順で紹介しますが、接着する前に自身で重ね合わせてみて下層から組む方が良さそうか上層から組む方がいいのか判断ください。接着前にこの手順5を一通り確認してから検討ください。
とにかくここが福山城組立てのヤマ場と思ってます。歪みや傾きに注意して下さい。また接着後ノリが乾く前に平らな場所に置いて全方向から歪み傾きを素早くチェックし補正します。

まず先に小天守の屋根を作っておきます。
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そして天守を組んでいきます。私は上層から。「では、参る!」
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向きは北面の壁が黒いのでわかりやすいと思います。
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私は写真の如く2階1重目屋根(手順3)を接着してますが、先に2階1重目屋根(手順3)を1階と接着しその後上物を接着というやり方もありです。
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一階と接着します。歪み傾き1階の下部(石垣に乗せる部分)に浮きが無いか確認し補正してください。きっちり部品を切る折るを行なってれば変形はほとんど出ませんが、人間のやる事なのでそうはいかないかもしれません。この段階で変形傾きがある場合はここまでに各所でズレが生じているからです。ここはノリ代の位置よりも変形傾きが少なくなる位置に接着することを優先してください。
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小天守周辺の接着位置関係を参考に乗せておきます。
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小天守の屋根を接着しますがここは内側からのり代を押さえることができないので小天守2階のノリ代を立てておきます。そして屋根側のノリ代にノリを多めに塗って上から位置を合わせながら乗せると簡単です。ノリ代が寝ていると接着不良が出る場合があります。「いちいちこんなことを私が指示しなくても良いと思いますが、一応親切心と理解ください。」
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天守台と接着です。建物と石垣に隙間があくと格好悪いので石垣の端や角にもしっかりノリを塗ってください。少し多めに塗るとノリが行き渡り、また位置合わせもやりやすくなります。
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この様に隙間なく接着します。
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【手順6】
多門櫓。ここまでたどりつけた方にはもう説明は不要なレベルです。
56、57、58番の3部品で多門櫓を作ります。
これは今の福山城では城の管理事務所?とトイレになってます。
そうそう多門?、多聞?世間ではこの二つの字が混在しています。どちらも間違いではないのですが『多門』は江戸時代の文書の90%はこの表記になっています。『多聞』は松永久秀の多聞城がはじまりということなのですが実はこれ言われ出したのは江戸中期ごろで『多門』より後。でも江戸時代の文書のほとんどは『多門』だったことから『多聞』はメジャーになれなかったようです。今は両方が混在していますが『多門』が無難なようです。
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【手順7】
天守北東の角、丑寅の位置にある櫓、『玉櫓』。鉄砲の玉を貯蔵していたとの話ですが定かではありません。作り方についてですが65番の2階と66番の1重目屋根を右写真中央のように先に接着してから最上階屋根と1階を接着します。
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【手順8】
北西の角、辰巳の位置にある『塩櫓』。
作り方は手順7の『玉櫓』と同様です。
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【手順9】
先の塩櫓に連結している多門櫓を作ります。個々は作るの簡単ですが連結の際はつなぎ目をしっかり接合させてください。あまり隙間が大きいと石垣の上に収まらなくなります。
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【手順10】
天守を囲む様に付ける土塀です。作り方は「製作の基本 土塀編」で詳しく書いてありますので、それを見てください。
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【手順11】
天守丸部分を作ります。
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先に104番の階段を組み立てます。
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そして階段の一つを94番の天守丸石垣の切り欠き部に接着。そしてもう一つの階段を88番の石垣に接着し、87番の石垣をとつなげます。最後に94番に接着します。
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【手順12】
天守周りの櫓台を作ります。
103番の櫓台上面は折るところは折っておいてください。そして100、101、102をつなぎ、91、92、93もつなぐ。
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そして103の櫓台上面に接着して下さい。
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【手順13】
まず手順11と12で作った物を接着します。
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そして105番の本丸地面を貼り付けます。
ここはぺらの紙と少々不安定な低い石垣との接着なのでズレたりシワにならないように注意してください。
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95~99の石垣をつなぎ、本丸地面と接着します。
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ノリは接着する1辺や2辺ごとに順番に塗って接着していきます。
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【手順14】
石垣の周りに土台を接着します。初めに107を次に108を接着する方が簡単です。
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そして櫓を先に接着し、それから土塀。土塀の端は櫓や石垣に接していますので紙の断面にもノリを塗っておくと土塀も固定されます。
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【手順15】
天守を接着します。天守のノリ代にノリを塗ります。
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天守の上から土台を被せ天守だけを持ち上げます。あとはしっかりノリ代を貼り合わせ完成です。
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【補強柱】
せっかく付属しているので使ってください。写真右の天守台の四角い箇所に接着します。
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これで完璧に安定します。
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完成です!
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