松江城の作り方(参考です)
39 松江城1


















以前からお客さんからの要望が多かった城ですが、ようやく商品化しました。一見すると小さな天守かと思いますがこれがなかなかわりと大きい。したがって、製作は比較的簡単な方です。一番難しいのは土塀だと思います。

本品を組み立てる前に。
今ココを見ている方は、組立図で理解できなかった方や初めて作る方が多いと思うので、まずはカテゴリ内の
作る前に(道具・心得)作り方基本編そして、作り方必殺技編を一読してから下の作業に移ってください。製作の基本を写真で示してあります。これはファセットのお城全品に共通した作り方を解説していたり、この方が綺麗に出来ますよ!という参考です。別に独自のやり方で進めていただいてもなんら問題ありません。

組立図の理解力は人によって大きな差があります。地図が読める方と全く読めない方、またクルクル回す方がいるのと同じです。ですが、わからないからと言ってあきらめず、この作り方をじっくり見て理解するようにしてください。出来るだけわかりやすく書くように努めてます。しかし、ここでもわからない方は、「もう、ごめんなさい私ではお手上げです。」

では、いつもの如く組立図の手順にならい作って行きます。


手順1
天守の最上階の四重目屋根から作ります。松江城天守は四重天守です。
(屋根の重なっている数ね。下から一重目、二重目と数えます。何かの本には五重と書かれているモノもあったようですが、真ん中ある三階部分は重には入りません。あれは破風扱いです。)
部品番号1の屋根は真中の棟の部分を裏ノリで右写真のように貼り合わせてください。
両側の屋根裏の折り返しはまだ接着しません。接着しちゃった人はまあそれはそれで大丈夫です。
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3と4の破風を作ります。
これは左写真のように屋根裏部分にだけノリを塗って接着します。これは部品図のAシートにも解説しています。
そして、1の屋根に接着します。屋根は軽く曲線となりますので2の破風のノリ代が浮いてしまうときはピンセットなどでノリ代を挟む様にすると接着出来ます。
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破風の接着が完了したら1屋根の屋根裏を裏ノリで接着します。
右の写真を見てください。真中に四角くノリ代が出来ます。ここには5の最上階の壁部品を接着するのですがこれが歪んでいると屋根が傾くので屋根裏の折り返しは点線に合わせてしっかり折ってください。
また、折りが甘いのもNGです。しっかり爪を使ってビシッと折っても構いません。指の腹だけで折ると曲がるだけで折り目が付かないのであとでノリがはがれてくることがありますし、寸法が狂うので注意です。
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鯱を接着します。細かくて切り取り難いですが、カッターの先で刺す様にして切り取ります。
真ん中で二つ折りにし接着します。
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5の天守最上階を作ります。
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6と7の屋根を組みますが各2こあります。まずは6の、両側にノリ代が付いている屋根の屋根裏を折り返し裏ノリで接着します。
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左の写真のように4つをのりでつなぎます。屋根は反りがあるので、屋根どうし隙間が空かないようにします。そして右の写真のように7屋根の屋根裏を裏のりで接着します。別に個々に屋根裏を接着してからつなぎ合わせてもいいのですが、この手順でやることで屋根裏でノリ代を挟み込むのであとではがれたりし難くなるので、強度アップがはかれます。
この工法は私があみだした必殺技なんですが、最近建物関係のペーパークラフト見るとこのやり方をちょくちょく見ます。パクられてますね(笑)
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最上階と上で作った三重目屋根を接着します。
屋根側のノリ代に接着剤を塗っておき、5の最上階を上から被せ接着です。
向きは東西方向と南北方向ありますが長方形なので別にわかりますよね。
そして一番上の四重目屋根を接着します。
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最上階はこれで完成です。というより手順1完成です。
一応この後この手順1で完成した最上階は向きがあります。それは下の階と接着するとき。手順3の時ですが向きに注意しなくてはなりません。組立図の手順3にも書いてありますが、下の写真の一番上の屋根の白い破風(部品番号3)のところに四角いのがあるでしょ。これがある方が西です。覚えておいてください。
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手順2
二重目と三重目屋根の間にある出窓です。部品はこの3種。
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まずは8を先に作った手順1の3番、4番と同じように折り曲げ屋根裏を裏ノリで貼り合わせます。
そして、右写真のように9の屋根を接着してから両側の小さな屋根裏を同様に裏ノリで貼ります。
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10番の壁を折り、この屋根裏に接着します。屋根裏に出てるノリ代に合わせます。
ノリは屋根裏側に、特に角にあたる部分には多めに塗っておきます。
右の写真のように背面は屋根、壁が面一になるようにします。面一になっていないとこの後、壁に貼りつけつ時に浮いてしまうので注意です。
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手順3
ココでは二重目の大きな屋根から上を完成させます。11、12、13を組み合わせます。
11屋根の真ん中の切り抜きは線に合わせて綺麗に切り抜いてください。12と13の接着はここまでに作ってきた要領と同じです。

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14と15を屋根の内側から接着します。隙間が空かないように。
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手順2で作った出窓を接着します。写真に示す赤丸の屋根の部分は壁と接するヘリのところにもノリを塗っておくといいです。壁の板張りと白漆喰の位置に固定できます。
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次に手順1で作った上の階を接着しますが、上の階の屋根を写真の赤丸で示してある屋根の尖りに差し込む様にして取り付けるので、ノリをつける前に一度、仮ではめ込んでみてください。あと、東西の向きがあります。先にも説明しましたが最上階の三角の壁に四角い絵が入っている方が西です。そして下の写真の大きな屋根を裏返してみてください西って書いてある方向。わかりますよね。
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はめ込むとこんな感じになります。うまくはめ込めたら手順1の三重目屋根裏の方にノリを塗って接着します。
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変型、歪み浮きなどないですか?方角もあってますか?
ちなみに、実はこの段階では方角を東西間違えてもセーフなんです。二重目の大屋根に付けた12、13の部品は実は同じなんです。違うのは屋根裏に書いてある東、西の表記が違うだけで完成後の外観には全く関係ありません。ただ、この後1階2階部と接着するときは向きが生じます。この1、2階と接着するときに最上階の四角い絵だけでは間違いがおきるとアカンのであえて12、13部品に東西を明記したんです。以上で手順3は完成!
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手順4
1、2階です。16~19の壁をつないで四角にします。この時、適当に折って大きめにならないようにしてください。この後、屋根や壁をぐるりと巻くように貼り付けるので大きめに出来てしまうと寸法が足りなくなります。
本シリーズのお城はPOPなものではなくきちっとした模型を目指しているので寸法に遊びは有りません

そしてそのぐるりと貼り付ける1重目の屋根です。
手順1で3重目屋根を作ったのと同じ要領で屋根をつなぎます。ノリ代も屋根裏で挟む様に接着した方が綺麗に出来ます。
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つないだ屋根を1階と2階の間のノリ代に貼っていきます。
この時ノリは壁側に塗った方がいいでしょう。屋根側に塗ると貼り付ける時に他のところにノリが付いて汚くなってしまう可能性があるので。
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こんな感じ。貼り合わせの隙間から白いノリ代が見えないのがベスト。
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手順5
さてさて、ここは松江城の珍しい部分の一つで、うちが今まで出しているお城にも無い造り。一般的に、屋根下は白漆喰が多いです。きれいに見えるから。ですが、松江城はめいっぱい上まで板張りです。なので、この屋根の下の白いノリ代部分に下見板を貼ります。

豊臣期の頃は白漆喰の品質がまだ未熟だったので雨のかかる部分は板張りにしていました。しかし1600年ころからは品質が向上したために板張りなしの天守が増えていきます。姫路城や名古屋城などは板を貼ってないですよね。
松江城が板張りなのはちょうど品質が向上し初めの頃だったのでまだこの辺りではその技術がなかったのか?堀尾吉晴が金をケチったのか?それとも秀吉と一緒に戦ってきた頃を懐かしんで当時の黒い天守にしたかったのか?定かではありませんが、私はケチったように思いますが。。。
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屋根を少しめく下の白いところにノリを塗ります。この屋根を作る時にノリ代を屋根裏で挟み込みましたか?それをしていると写真のようにめくりあげてもつなぎ目がはがれません。やってない人は慎重に作業しましょう。ノリを塗ったら20と21を貼ります。板の目をできるだけ合わせるようにします。
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これで手順5は完成です。
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手順6
これもあまり他の天守では見ない2階の隠し石落としです。組図の貼り付け指示の位置に接着していきます。
一応ノリ代を色分けしてあるのでわかると思います。
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で!ここで組図ではまだ後工程になっているのですが、せっかく1,2階とその上が出来上がったので天守を組み付けます。
組図では手順10で示しているのですが、それはページ制限上の事で、別にここで組んでも大丈夫です。
手順3の屋根裏ノリ代にノリを塗ってさっきの1,2階を接着します。方角向きを確認して接着します。
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どうじゃどうじゃ。カッコええよなー!
平らなところに置いてみて傾きなどが無いか確信、修正してください。
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手順7
入口にあたる付櫓です。
32と34で屋根を作ります。もう細かい事は書かへんよ。今までのことを踏まえて作業してください。
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33と35で壁を作り、36、37の石落を接着。
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櫓の背面のノリ代になってる壁から屋根が付きでないようにしてください。
あとで天守に接合するので屋根が飛び出てると接着出来ません。
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石垣に入口を付けます。入口は石垣の内側から接着します。
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入口の貼り付け。石垣の内側からの写真です。
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石垣と付櫓を合体。
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手順8
土台の製作に入ります。
まずは、天守台とその周りの石垣を作ります。

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石垣に43の地面、次に天守台を接着。
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そして42を接着します。接着がズレると地面が波打つので慎重に貼り合わせてください。ノリを少し多めに塗っておくと位置合わせがやりやすいです。
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手順9
次に47~52と組み上げて手順8の土台と接着します。ここは特に順番は有りません。ただ貼り合わせ面が長いので先ほどと同様にズレなどがない様に慎重に組付けてください。
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47~52を組むと左写真のようになります。それを手順8に接着します。
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手順10
土台の最終工程です。53、54、55の土台枠を接着します。ここの接着が一番大変です。ズレ注意!
完成したら平らなところに置いてみてヨジレ、変形がない様に調整します。私が推奨してるノリ、ピットマルチ2なら柔軟性があるので比較的無理な形状修正も可能です。ただ、速乾性で硬くなるノリは修正が利かないので貼り合わせ時にヨジレ、ズレに注意してください。

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補強
ココで補強をしておきます。別に完成後でもいいのですがこの段階でやるのが他に気を使わなくていいので。
まず、66と67を組み合わせ左写真のようにします、そして右の写真のように天守台のところに接着します。
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補強柱のノリ代は天守台の裏側に接着するようになってます。右の写真で分かるかな?
この時も接着したら必ず土台に歪みが無いか平らなところに置いて確認してください。
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天守台に付け櫓を接着。この時もノリは多めに付けた方が位置合わせがやりやすいです。
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写真のようにしっかり天守台石垣に密着させてください。
そして天守を天守台接着しますが、右写真のように付櫓との接着は櫓側にノリを塗った方がやりやすいと思います。
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天守の角と石垣の角を合わせることを頭に入れて位置合わせします。そして櫓と天守の間に隙間が空かないように。
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とにかく線に合わせてしっかり折り、ズレないように接着すれば誰でもこの程度のクオリティにはなります。
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手順11
最終工程です。土塀を付けます。今の松江城に行っても土塀は無いのですがあった方が見栄えが良いので付けました。
土塀の細かい作り方は初めに書いた作り方基本編の下の方にわかりやすく書いてありますのでそちらを見てください。
下の写真は56~59の土塀です。これをつなげます。
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つないでノリがある程度乾いて手に持っても取れたりしない様になったら土台側のノリ代にノリを塗って接着します。
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同様に他の土塀も接着。
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で、完成です!
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